(以下は、当職(松本)からの、平出弁護士宛の2003年6月18日付けのファクスです。)

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平 出 晋 一 先 生
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弁護士  松  本  直  樹  

前略 ネオジャパンを代理して、サイボウズ社代理人平出晋一先生にご連絡いたします。先々週の1回目の電話(6月3日)では、その直前のファクスとは違って、穏当な内容を伺いました。しかしファクスを見直すと、「速やかなる書面での回答を求めます」とのことであり、しかもファクスの方は放置しかねる内容ですので(実際、ファクスを読み直すと、余りに勝手な主張であり、個人的にも怒りを抑えることが出来ません)、こういう形で改めて書面を出しておきます。

1. 電話でのお話

 まず、電話での話について申し上げておきます。

 最初の電話(6月3日)で仰っていたように、“今回の和解は違法コピーを認めたものではない”ということが重要です。この結論が当方にとって最重要であり、これを明らかにしていただければ、それ以上に責任追及することは余り考えていません。これは申し上げたとおりです。先々週の最初の電話では、この点を主旨とした記者会見をなさるものと聞こえましたので、それを前提として、上記のように、それ以上に責任追及することは余り考えていない旨を申し上げました。

 ところが、翌日の2度目の電話では、記者会見というのは主にサイボウズ社としての(和解についての一般的な)説明をするもので、必ずしも“今回の和解は違法コピーを認めたものではない”ということに重点を置いたものではないように聞こえました。むしろ、非侵害を確認していない、という点をご説明になるようなお話でした。

 もちろん、(一定の枠の中で)正しい説明をなさる限りにおいて、当方として何ら異議を差し挟むものではありません。しかし現状は、上で書いたような、“今回の和解は違法コピーを認めたものではない”ということを十分に明らかにしていただく必要がある状況だと当方では認識しています。これがなされないのであれば、サイボウズ社の責任を追及することになることも当然にあり得ます。

2. ファクスの1項について

 2003年6月3日付けの貴ファクスによれば、毎日新聞の誤報は、サイボウズ社にまったく由来しないものであるかのように仰っています。すなわち、「〜また、毎日新聞からの取材に対しても、『違法コビーを事実上認めた』との説明はもちろん貴職が指摘する虚偽陳述は一切行なっておりません。」とのことです。

 しかし、このご説明は、毎日新聞の記者の話とまったく不整合です。毎日新聞の担当記者は、6月2日の電話などで、「この職を賭して、聞いたことのない嘘なんて書くわけがないのです。」等と言っています。もっともだと思います。合理的に考えて、毎日新聞記者が、サイボウズ社がまったく言っていないことをあのように捏造するとは到底考えられません。そんなことをする動機もなければ、作り出す端緒も持ち合わせていないからです。

 また、B項では、「勝手にやった」との説明をしていないと主張しておいでですが、事実、そのとおりのご発言でした。当職の記録によれば、当方が平出先生に6月2日午前11時6分にかけた電話において、ネオジャパンのHPでの説明にも問題があるとのご主張に対して当職が「でも、違法コピーを確認したというのに比べたら雲泥の差でしょう。」と申し上げたところ、平出先生が、

「でもそれは毎日新聞が勝手にやったことで」「うちとしては今日はもう厳重に抗議しようと思って」

とおっしゃっていたものです。当職はこれをそのままに毎日新聞に伝えました。

 また、B項およびC項では、「勝手にやった」としたのでは、「毎日新聞が何らの取材も行わないまま、勝手に掲載したとも受け取られます」などとお書きですが、そんな趣旨には理解しておりませんし、毎日新聞にお伝えした際にも誤解のないように申し上げました。有り得ない可能性を取り上げて非難するもので、いたずらに攻撃的なばかりの不適切なご主張です。

 サイボウズ社がとにかく攻撃的であることはよく分かり、またそうしたところから、毎日新聞記者への電話での説明が果たしてどういったものだったのか、想像されるところではあります。

3. ファクスの2項について

 2項では、ネオジャパンのホームペ一ジにおけるコメントに、「明らかに事実を誤認させる内容」があるとご指摘ですが、いずれも失当です。それでも、誤解の可能性を極力避けるために、当方ではご指摘の点の多くを既に修正いたしました。ご指摘が失当であることについて、以下にご説明いたします。

 @項で、「本件は、東京高等裁判所においても、・・・・侵害するものではないとの判断の上で、和解に至ったものと理解しております」と記載したのを、「読者に対し、あたかも東京高等裁判所が『侵害するものではない』と判断したように誤認させる内容の不正確な記載」だとご主張です。しかし、それが当方の理解であり、理解としてそのとおりに書いただけです。

 A項で、和解条項についての説明において「iOfficeV1.O」に続いて「(非売品である)」との記載を加えたことを、「読者を誤認させる内容」と仰っています。しかし、これは事実であり、それで「誤認」が生じることなどありません。

 B項で、「よって、当然」との言葉で接続しているところから、「本件和解において「本件に著作権侵害等がない」ことが確認されたから金銭の支払がなかった、と読者を誤認させる内容」だと主張されています。非侵害が和解において明示的に確認されたわけではないのはそのとおりです。しかし、ここではそんなことは書いていません。著作権侵害がないから金銭支払いもしなかったのは、まさに当方ではその様に理解しているところです。

 C項で「「ネガティブキャンペーン」は一切おこなって」いない、とご主張ですが、理解しかねるご主張です。これまでの訴訟での主張と同内容のご主張や、地裁判決を批判する記者会見など、当方にとってはまさしく「ネガティブキャンペーン」です。

 D項では、「今後も新規販売は行いませんが、著作権侵害ではないことを確認した上での措置」との記載を「読者を誤認させる内容」とご主張ですが、全体的にはこれで間違ってはいないと思います。

4. ファクスの3項について

 当職のコメントについても、誤解の可能性を極力排除する趣旨で、既に修正をいたしました。しかしながら、元のコメントへのご指摘も、以下のように失当だと存じます。

 まず@項で、「実質的に著作権非侵害を確認する旨で調整できた」との部分について、「実質的にも形式的にも」著作権侵害の有無には触れられていないとのご主張により批判しておいでですが、これはご批判の方が間違いだというのが当職の理解です。

 今回の和解条項では、形式的には「非侵害」と確認されていないのは、ご指摘のとおりです。しかしながら、和解の内容としては、侵害を肯定する端緒はまったくないままに(すなわち、金銭支払いはなく、2.43の新規顧客への販売停止についても著作権侵害が理由ではないと明記されたうえで)、6項でその余の請求を放棄しているわけです。これは、全体として実質的に非侵害を確認する内容である、というのが当方の理解です。

 当職のコメントが仮に「非侵害が明記された」というものだったなら、間違いであること明らかですが、「実質的に著作権非侵害を確認する旨」とするのはまったく正しいと思います。

 A項でご批判の「著作権侵害を否定する和解は当然」という当職の表現も、和解条項の全体としては、上記のようにまさにそうなっているもので、正しいコメント内容だと思います。

5. ファクスの4項について

 4項では、当職の6月1日付けのファクスについて、「事実確認を行わないまま当社を犯罪者と決めつけたもの」と論難しておいでです。しかし、当職のそのファクスは、毎日新聞記者の説明に基づき、その旨を明記して貴社に対して抗議をしたものです。そうした経緯と文書の趣旨に鑑みて、まったく妥当なものと存じます。

 また、同じ文書について、「貴社は当社に対し、事実確認を行わないまま」だったとの非難もしておいでです。しかし、文書はその貴社への抗議の文書です。なにを仰っているのか趣旨不明です。

6. 相互関係について

 上記1と2のように、電話とファクスとで貴職からのご連絡内容は随分と違っていますが、それらの相互関係について、電話では“ファクスは会社の方針である”というお話でした。

 仮に、電話ではあのように言うことまでも含めて「会社の方針」だとすれば、これは“二枚舌を使う”というのが「会社の方針」であると言うことになります。また、電話での話は会社の方針に従っていないのだとすれば、それはそれで委任受任関係を継続なさることに対して疑問を感じます。いずれにしても、ファクスの内容には呆れています。

以上

PS

 6月17日の毎日新聞の本間さんからの電話で、サイボウズ社から毎日新聞への説明では、サイボウズがミスリードの説明をしたことを認める、その旨を弁護士を通じてないとネオジャパンにも伝えた、となっている、との連絡を受けました。

 そうならば、正式に書面により、6月3日付けのファクスでの主張を撤回し謝罪する旨をご連絡ください。それを頂戴したなら、当方のHPに掲載させていただきます。

 上記の書面をいただけないと、当方としては、「二枚舌」がサイボウズ社の方針であると理解せざるを得ません。

以上