Last Modified: 2015年10月22日(木)07時45分00秒

研究会のメモ、2015年

By 松本 直樹

 私が出席した研究会で、私が後から思ったことをメモしておきます。レポーターの話は必ずしも書きませんし、また書いた場合でもそれはレポーターの著作権? に属する話なので、副次的な範囲に留めます。

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目次

1. 無効の抗弁(2015年5月18日TB)

 東弁研究会で、無効の抗弁の話を伺いました。以下に記すのは、その際に私がちょっと発言させていただいた事項を中心とした話です。

1.1 時機遅れと控訴審

 侵害訴訟における無効の抗弁の主張が、遅れてなされると、時機遅れとして排斥されることがあります。これが、控訴審では原則としてそうだとされ、でも実際に審理に悪影響を与えないから例外的に検討する、などとしている例があります。私もそう言われたことがあります(でも、結論として受け入れられなかっただけでなく、ちゃんと考えて貰っていなかったのではないかという印象で居るのですが)

 これは(原則として時機遅れとするのは)、少なくとも控訴理由において主張する場合には、不適切なのではないでしょうか。まあ、例外的に、というのが、そういうレトリックに過ぎない(実際には検討してくれる)なら良いようなものですが。

 続審性として、新しい主張も出来るべきです。地裁判決において、それ程広いクレーム解釈を採るというなら、それなら無効主張をする、という態度を許すべきだと思うのです。そうでないと、地裁段階において、あらゆる場合に無効主張をしておくべきということになりかねません。これは、合理的な審理のための制度にならないように思います。

 これは、地裁の審理の中で段階を分ける話とは別のことです。

1.2 抗弁と訂正、再抗弁

 

 

1.3 該当性の判断をするべきか

 

2. 椅子の件

 

3. サポート要件(TB)

 知財高裁10年ということでのお話を伺ったのですが、PBPクレームの最判の話が加わり、そっちがかなりのウエイト。またそれ以外の話も、知財高裁の話を広くというよりは、サポート要件の話を中心としたような印象になりました。

 以下では、サポート要件について改めて思ったことを簡単にメモしておきます、あくまでも、私の理解を書くものです。PBPクレーム最判については、別にメモを作成予定です。

 サポート要件は、クレームが広すぎてはいけないという話です(……と理解しています)。

4. ライムライト

 

5. ゴーストライター

 I先生(弁護士)のお話を聞きました。ゴーストライター契約を尊重するべき、というのが結論です。その根拠として、実は結構いろいろな場面で、そのままでは著作者ではない者が著作権を得るような取り決めがなされており、これらも内容的にはゴーストライター契約の一種であって、それらの効力を認める必要がある、というご説明がありました。

 基本的に非常にもっともなご指摘と思いました。関係者が承知でやっているなら、処罰するような話とは思えません。しかし、元裁判官のY先生からは、批判がありました、世間をだます行為を認めることになる、と。しかし、そういった問題は、基本的には著作権法で対処する話ではなく、もしも詐欺になるならそういう不法行為としての対処がされるべきもののように思います。あるいは詐欺の刑法の問題として対処すれば良い、と。

 確かにそう思います。ただ、著作権法は、この辺のことも或る程度は構ってはいるのですね(ご説明を伺って初めて意識しましたが)。著作権法121条は、「著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名として表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。」としていて、「著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示」は、関係者の許諾等があっても該当する意味だと理解されているのですね。ゴーストライターが書いた場合だと、ゴーストライターが「著作者」であり、普通のゴーストライターの場合はそれを依頼者を「著作者名として表示」して出版することになりますから(だからこそ「ゴースト」です)、この条文に該当してしまいます。つまり、出版社等がこの「頒布した者」に当たり、処罰対象になってしまいます。

 しかし、これが処罰されるというのはなんとも行き過ぎと思います。関係者がみな認めている場合に、名義違いを頒布したと言って処罰する必要があるとは思えません。

 

6. 国際的な問題

 国際的な特許権行使について、アップデートしていただきました。

6.1 FM復調器事件の負の遺産

 FM復調器事件について、改めて考えました。以前は、属地性の考え方などに関心が強かったのですが、その点はまあ、理解できる最判だったと考えるに至っています。むしろ問題は、結論です、やはり。権利の実効的な広がりについて、問題があります。いきなりの難しすぎた事案であり、よく考えられていないままにされた判断であるのに、そこでの判断が障碍として残ってしまっている、と思うのです。

 難しすぎた、というのはこういうことです。

6.2 「申出」は実施である

6.3 属地性ないし領域性を国際私法からの帰結ではなく考えるべき(それが私見です)

 

7. このメモについて

 04年のときの冒頭に書いていたことをここに残しておきます(05年06年07年08年09年10年も、11年12年もだいたいそうでした)。「そういうこともあって、また私が誤解している可能性もあるので、レポーター名や他の発言者のお名前は、イニシャルだけにしておきます。」 もっとも、今後は余りこれに拘らないようにしようと思います、むしろ原則レポータ名は書くことにします。他の発言は、そのとき考えます。

 上記のように、他の方にご迷惑の及ぶことの無いように考慮している積もりですが、そんなことは言っていないとか、その他ご要望がありましたら何でもご連絡ください。可能な限り従います。


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