(生海苔異物除去機事件の審決、OCR by 松本 on 17 Dec 2001)

審決

無効2000ー35411
無効2000ー35675

愛知県名古屋市瑞穂区堀田通7丁目9番地
請求人 フルタ電機株式会社

愛知県名古屋市緑区鳴海町字姥子山185番地の3 パビリオン東ケ丘Aー401号 竹中特許事務所
代理人弁理士 竹中一宣

愛知県渥美郡田原町大字神戸字大坪230番地
請求人 渡邊機開工業株式会社

東京都新宿区左門町16一2 日本生命四谷ビル6階 鈴木正次特許事務所
代理人弁理士 鈴木正次

東京都新宿区左門町16ー2 日本生命四谷ビル6階 鈴木正次特許事務所
代理人弁理士 涌井謙一

静岡県湖西市吉美2098番地の1
被請求人 株式会社親和製作所

東京都千代田区富士見2丁目10ー28 フジボウ会館ビル6階
代理人弁護士 松本直樹

 上記当事者間の特許第2662538号の特許無効審判事件について、併合の審理のうえ、次のとおり審決する。

結論

 本件審判の請求は、成り立たない。
 審判費用は、請求人の負担とする。

理由

T.手続の経緯

 本件特許2662538号発明は、平成6年11月24日に特願平6−315896号として出願され、平成9年6月20日に設定の登録がなされたところ、これに対して、平成12年7月27日付でフルタ電機株式会社(2000年審判第35411号)より、また、平成12年12月13日付で渡邊機開工業株式会社(2000年審判第35675号)より、それぞれ特許無効審判の請求がなされた。

U.当事者の主張

1.2000年審判第35411号について

(1)請求人の主張

 請求人は、「特許第2662538号請求項1はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として下記の甲第1号証乃至甲第4号証を提出し、本件特許の特許請求の範囲は、その内容が当業者が容易に実施できるように記載されておらず、特許法36条4項又は5項に違反してなされた特許である旨主張している。



甲第1号証:「親和の異物除去装置における異物分散状態確認試験(第4報)」

甲第2号証:「親和の異物除去装置における異物の種類別分散試験」

甲第3号証:「親和の装置の流速計算及び異物の集積に必要なパンチメタル壁の直径計算」

甲第4号証:「ダストールと親和の自然流下による海苔流出試験」

(2)被請求人の主張

 被請求人は、「本件無効審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として乙第1号証乃至乙第4号証を提出している。



乙第1号証:東京地方裁判所平成12年3月23日付け判決書

乙第2号証:実用新案登録第3060414号公報

乙第3号証:乙第1号証に係る事件の控訴審判決書

乙第4号証:乙第3号証に係る事件の上告審として受理しない旨の決定書

2.2000年審判第35675号について

(1)請求人の主張

 請求人は、「特許第2662538号発明の明細書記載の請求項1及び2に係る発明の特許を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として下記の甲第1号証乃至甲第4号証を提出し、(1)本件特許の請求項1、2に係る発明は、明細書記載の効果を奏しないこと
が明らかであるから、「産業上利用することができない」ものと認められ、特許法29条1項柱書きの規定により、或いは(2)本件特許の明細書中「発明の詳細な説明」は、当業者が、その実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないので、特許法36条4項又は5項の規定に違反するものである旨主張している。



甲第1号証:特許第2662538号公報(本件発明に係る明細書)

甲第2号証ー1:実験報告書

甲第2号証ー2:甲第2号証ー1の実験に使用した被請求人の販売した「CFWー37型」機械の写真

甲第3号証ー1:実験報告書

甲第3号証ー2:実験装置(CFWー37型機)のビデオテープ

甲第4号証:水産大学校教授鬼頭鈎氏の鑑定意見書

(2)被請求人の主張被請求人は、「本件無効審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、証拠方法として乙第1号証乃至乙第5号証の2を提出している。



乙第1号証:ビデオ(本件発明の装置が吸引ポンプが無くても機能することを示す実験)

乙第1号証の2:陳述書

乙第2号証:黒田竹弓爾著「浅海増殖の理論と実際」(昭和32年8月20日漁村文化協会発行)74〜75頁

乙第3号証:殖田三郎著「海苔養殖讀本」(昭和33年9月10日全国海苔貝類漁業協同組合連合会発行)32〜33頁

乙第4号証:ビデオ(回転板が上がる理由の説明と、下がった状態で流出していることの確認、上がった状態では極めて大量に流出することとの対比)

乙第4号証の2:陳述書

乙第5号証:ビデオ(0.6mmのクリアランスを使っての、吸引ポンプ無しでの流出実験)

乙第5号証の2:陳述書

V.当審の判断

1.2000年審判第35411号について

 請求人の特許法36条4項又は5項に規定する要件を満たしていないという主張は次のとおりである。

(a)本件請求項1の記載は、「タンクの底隅部に集積する」構成が開示されていない。

 すなわち、甲第1号証によれば、異物は全ての領域(渦流中)に満遍なく
分散されることが明らかになり、また軽い異物は、回転中心部の方へ集積してゆき、遠心力で異物が外周底部(低隅部)に集積することはなかった。

 甲第2号証によると、親和の装置を用いて、比重の異なる各種の異物を想定し、かつ集積条件を探る実験をしたが、この試験内容では、ほとんどの異物は、底隅部には集積しないことが判明した。

 また、第一回転板の回転を利用して生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力によって分離する効果を発揮するには、渦の流速と、第一回転板の周縁と環状枠板蔀の外周縁との間隔(底面の長さ=L)とが関係するところ、甲第3号証によると、親和の装置では異物及び生海苔は、渦流の中で満遍なく分散した状態となる。

 したがって、本件明細書には、「第一回転板の回転を利用して生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力によって分離する効果」を発揮する構成が開示されていない。

(b)本件請求項1の記載は、「クリアランスC」の構成が不明瞭である。

 すなわち、環状枠板23の内周縁と、第一回転板51の外周縁は、ともに一体型の環状であり、これらの径は明細書の記載では変更できないから、「クリアランスC」を調整する構成が不明瞭である。

(c)本件請求項1の記載は、「内嵌め」に関する記載が不明瞭である。

 すなわち、「クリアランスを介して内嵌め」について具体的な構成が開示されておらず、甲第4号証によると、「内嵌め」によるクリアランスは、上下方向であるとの構成が開示されるべきである。

 よって以下に検討する。

(a)について

 甲第1号証では、「フルタ製のFD−380C内ばめ方式」の試験装置を使用し、海水及びヒメハマトビムシや海藻の茎等を含む原藻を試験流体(異物)として試験を実施しており、「フルタ電機(株)で改造したFD−380C内嵌め方式、すなわち「親和」と同じ方式であっても、異物はすべての領域に満遍なく分散され、かつ軽い異物は、回転中心部の方へ集積して行き、遠心力で異物が外周底部に集積することは無い。」との結論を得ている。

 また、甲第2号証では、「「ダストール」FDー380C内ばめ方式」の試験装置を使用し、貝殻(比重2.61)、細い網糸(同1.02)ニ太い絹糸(同1.02)、ポリアセタール樹脂成型用のチップ(同1.33)、及び海苔(同1.02)を試験用異物として試験を実施しており、甲第2号証の「4.結果の検討」の項には、「貝殻」の場合、「以上より比重の重い異物を外周底部に集積させる運転条件は、実用領域をはるかに離れた10Hz以上20Hz以下の範囲すなわち15Hz前後の極めて限られた狭い条件設定が必要である。」、及び「ポリアセタールチップ」の場合、「以上より比重が1.33前後の異物を遠心力により外周底部に集積させる運転条件は、実用領域をはるかに離れた10Hz程度のきわめて遅い条件設定が必要である。」と記載
されている。

 しかるに、本件明細書には、「この発明に係る生海苔の異物分離除去装置は上記のように構成されているため、第一回転板を回転させると混合液に渦が形成されるため生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力によって第一回転板と前記環状枠板部とのクリアランスよりも環状枠板部側、即ち、タンクの底隅部に集積する結果、生海苔のみが水とともに前記クリアランスを通過して下方に流れるものである。」(特許公報2頁3欄45行〜4欄1行)との記載があり、この記載を踏まえて甲第1号証をみると、甲第1号証に係る異物は「ヒメハマトビムシや海藻の茎等」であって、このものが生海苔より比重がはるかに大きいとは解されないので、甲第1号証での結論が上述のようなものであったとしても、そのことにより本件発明の構成が不明瞭であるとはいえない。

 そして、甲第2号証において、試験用異物として供される「細い網糸」や「太い網糸」は、「海苔」と同じ比重(1.02)であるから、これらが、タンク外周底部に集積しないことは、上記本件明細書の記載に照らし当然のことである。

 また、海苔より比重の大きい異物である「貝殻」や「ポリアセタール樹脂成型用のチップ」を、外周底部に集積させる運転条件は、実用領域をはるかに離れた条件設定が必要であるとしても、「貝殻」や「ポリアセタール樹脂成型用のチップ」が、外周底部に集積するという本発明の効果は奏されており、しかも、試験に供された試験装置は、FDー380Cを改造したものであって、必ずしも本件発明の最良の実施の態様でないことを勘案すると、甲第2号証に係る結果を根拠に、本件発明の構成が不明瞭であるとはいえない。

 甲第3号証には、親和型ダストールの円盤が回転したとき、発生する渦流の速度を計算する目的で試験を実施し、異物の集積に必要なパンチメタル壁の直径として、約1870mmという数値を提示している。

 しかし、本件発明に係る「異物分離除去装置」において、「パンチメタル壁」は、その構成要件とはなっておらず、本件発明とは無関係の事項である。

 そうすると、甲第3号証を根拠とした請求人の上記主張は失当である。

 なお、請求人は、平成13年8月15日付上申書にて、「明細書における【0001】の【産業上の利用分野】の説明では、比重の小さい異物(軽い異物)であるゴミ、エビ、アミ糸が列挙されており、明らかに、この比重の小さい異物であるゴミ、エビ、アミ糸の除去を目的とした技術思想となっている。従って、この度の被請求人の主張とは、全く正反対な説明となっており、当該被請求人の主張は矛盾する。」と主張している。

 しかし、生海苔よりも比重のはるかに大きいゴミ、エビ、アミ糸である場合には、除去されるのであるから、上記請求人の主張は採用できない。

(b)について

 クリアランスCの調整に関し、本件明細書には、「24は環状固定板であり、前記環状枠板23の内周縁に螺子止めされている。この環状固定板24は前記環状枠板23の内周側に延出し、後記第一回転板51の外周縁とのクリアランスCを調節する(図4を参照のこと)。」(特許公報2頁4欄38〜42行)との記載があり、この記載によると、「環状固定板24」を所期径のものに置き換えれば、クリアランスCが適宜変更できると理解することができる。

 そうすると、上記請求人の主張は失当といわざるをえない。

(c)について

 甲第4号証では、フルタ電機(株)で制作している原藻中の異物除去装置(商品名「ダストール」)と(株)親和製作所の異物除去装置(「CFW−36型」)で、ポンプを使用しない状態での自然流下による海苔流出試験を実施し、機能、構造の比較を行っている。

 そして、「ダストール」は回転数の増加に伴い流量が暫減して行くのに対し、「CFW−36型」では、逆に増加し、最大値は、実用領域の240rpm(40Hz)〜360rpm(60Hz)近辺にあり、海苔の流出量もこれに比例しており、このことは、吸い込みポンプなしで設計できる構造であることを意味するが、一方、「ダストール」は、ポンプのない場合、実用領域の240rpm(40Hz)〜360rpm(60Hz)では、流出量もほとんどなく、また海苔も流出してこないので、「ダストール」は、吸い込みポンプなしの設計はできない構造である、という試験結果を得ている。

 しかるに、本件発明においては、「環状枠板蔀の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌め」する構造に係るものであるから、このような構造と異なる「ダストール」における試験結果を根拠に、本件発明に係る異物分離除去装置の「クリアランス」は、上下方向に限定すべきであるという請求人の主張は、失当である。

 以上のとおり、本件請求項1に係る発明の特許は、特許法36条4項又は5項の規定に違反してなされたということはできない。

2.2000年審判第35675号について

 請求人の特許法29条1項柱書き、及び同36条4項又は5項の規定に違反するという主張は次のとおりである。

(a)本件請求項1及び2に記載された構成要件では、生海苔と水との混合液中、生海苔はクリアランスをほとんど通過しない(甲第2号証ー1)、又は特別の条件によっては僅かに通過する(甲第3号証ー1、甲第3号証−2、甲第4号証)。

 しかし、元来異物分離装置は、全部の生海苔がクリアランスを通過することにより異物を分離するのであるから、通過する生海苔が僅かでは産業上利用できないことが自明である。したがって、特許法29条1項柱書きの規定により、特許を受けることができない。
 或いは、明細書中に当業者が容易に実施し得る程度の説明がないので、同法36条4項又は5項の規定に違反している。

(b)本件請求項1に係る「僅かなクリアランス」という記載は、比較の基準又は程度が不明確な表現であるから、特許を受けようとする発明の外延が不明確であって、特許法36条4項又は5項の規定に違反している。

 よって、以下に検討する。

(a)について

 甲第2号証−1では、「親和式原草海苔異物除去洗浄機CFWー37型」を使用し、水100リットルに長さ3cm位に切断した冷凍乾燥生海苔3Kgを入れ、均一に撹拌した混合液を実験に供し、次のように考察している。

「1.前記生海苔の異物分離の実験によれば、回転板を停止し、減圧吸引しない場合には、排水中の生海苔は皆無であった(生海苔はクリアランスを通過しなかった)。

2.同じく減圧吸引しないで回転板を回転した場合にも、生海苔は、クリアランスを通過しないことが判明した。但し、水は前記より通過量が多くなることが認められた(生海苔によるクリアランスの閉塞が少ない為か)。

3.実験機械は、減圧吸引しなければ、水と生海苔との混合液から異物を分離することはできないことが判明した。従って生海苔異物分離機として利用することはできない。」

 また、甲第3号証では、「CFWー37型」を使用し、水50リットルに生海苔200枚分を6枚刃の超硬刃でφ9穴(φ9mm、穴数が90ケ)のプレートを使用して生海苔を荒切りした海苔を使用し次のように結果報告している。

「(1)吸引ポンプを使用しない場合は、ほんの少ししか生海苔が排出しない。
(第1撹拌槽内の外周付近に殆ど残っている。)

(2)吸引ポンプを使用した場合はビデオテープの通り殆ど排出している。
(第1撹拌槽には殆ど残っていない。)」

 上記甲第2号証−1及び甲第3号証ー1によると、「親和式原草海苔異物除去洗浄機CFW−37型」において、吸引ポンプを使用しない場合には、生海苔は、排出しない、或いはほんの少ししか排出しないと結論付けている。

 しかるに、甲第2号証−1によると、「CFW−37型」は、排出ポンプが装備されている異物分離除去装置であると認められるところ、このような装置であれば、回転板及びクリアランスは、排出ポンプが作動されることを前提として調整されていると解される。

 そうすると、「CFWー37型」を排出ポンプを使用しないで実験を行うと、本来「CFW−37型」が有する機能は、十分に発揮することができないが、排出ポンプ(吸引ポンプ)を使用するとクリアランスから生海苔と水との混合物が良好に排出されることは当然のことである。

 かえって、2000年審判第35411号に係る甲第4号証によると、本
件特許の実施品である「CFW−36型」で、ポンプを使用しない状態での自然流下による海苔流出試験を実施した場合、実用領域の240『pm(40Hz)〜360『pm(60Hz)近辺で流出水量の最大値を示し、海苔の流出量もこれに比例しているとの結果が得られており、この結果を踏まえると、甲第2号証一1及び甲第3号証一1の実験結果を根拠にした請求人の上記主張は採用することができない。

 なお、本件甲第4号証では、「生海苔の異物除去洗浄機としては、吸引ポンプを使用した場合にはじめて、実用的な使用が可能になる。」との総合的結論を得ているが、この結論を参酌しても上記判断が左右されることはない。

 したがって、本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法29条1項柱書きの規定或いは、同法36条4項又は5項の規定に違反していない。

(b)について

 クリアランスに関して、本件明細書には「24は環状固定板であり、前記環状枠板23の内周縁に螺子止めされている。この環状固定板24は前記環状枠板23の内周側に延出し、後記第一回転板51の外周縁とのクリアランスCを調節する(図4を参照のこと)。」(特許公報2頁4欄38〜42行)、及び「この第ー回転板51は真円状であり、前記環状固定板24の内周内に面一の状態で適宜クリアランスCを介して配置されている(図4参照のこと)。このクリアランスCは生海苔と水との混合液が通過する個所である。」(同3頁5欄23〜27行)との記載はあるものの、「僅かなクリアランス」について具体的な数値で記載しているところはない。

 しかし、「このため、生海苔のみが水とともに前記クリアランスCを通過して下方に流れる。このとき、第一回転板51は回転しているため、前記クリアランスCに生海苔は詰まりにくいものである。」(同3頁6欄40〜43行)、及び「なお、第一回転板51、81の回転を停止した場合、クリアランスC、Sに生海苔が詰まるため、このクリアランスC、Sを通過する混合液(生海苔及び水)は僅かなものとなり、作業に差し支えることはない。」(4頁7欄7〜10行)との記載を考慮すれば、当業者であれば、「僅かなクリアランス」とはどれくらいの寸法のものになるかは容易に決定できる事項であるから、比較の基準又は程度が明示されていないことをもって、本件明細書が不明確であるとはいえない。

 したがって、本件請求項1及び2に係る発明の特許は、特許法36条4項又は5項の規定に違反してなされたということはできない。

IV.むすび

 以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては、本件請求項1及び2に係る発明の特許を無効とすることはできない。

 よって、結論のとおり審決する。

平成13年12月4日

審判長 特許庁審判官 徳廣正道
    特許庁審判官 木原裕
    特許庁審判官 田中久直

〔審決分類〕P1122.14ーY (A23L)
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 上記はファイルに記録されている事項と相違ないことを認証する。
認証日 平成13年12月4日 審判書記官 黒川敏郎(印)