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和解と誤報を巡る問題
  ……ネオジャパンadvサイボウズ事件の経過報告

By 松本直樹 (ネオジャパン代理人・弁護士) (御連絡はメールで、ホームページの末尾にあるアドレスまで。)
初出: ウェブページのための書き下ろし
ウェブページ掲載: 2003年6月27日(29日に改訂、7月11日に訴え提起について5.6項を加筆、04年2月17日に非難的な表現を削除)

 元のケースは高裁で和解したのですが、その後に誤報を巡るゴタゴタが生じてしまいました。私個人としても極めて不快な点があるのですが、それは極力抑えて、経過について出来るだけ客観的にご報告しておきます。(03年12月17日加筆: 客観的事実として書いてある部分は、もちろん客観的事実ですが、そこからの判断として書いてあるところは、私の判断です。ご理解いただけるように書いているつもりです。)

 (2003年9月6日追記: 事件(虚偽陳述流布の禁止を求める事件)弁論記録を掲載しました。)

 (2003年12月15日追記: 9月30日の地裁判決では、驚いたことに敗訴してしまいました。控訴しました。控訴審の弁論記録はこちら。)

 (2004年2月15日: 高裁での和解協議に伴って、非難的な表現を削除しました。事実経過については、基本的に残してあります。)

 (2004年3月3日: 高裁で和解が成立しました(再び)。その和解条項を8に加筆しました。)

1.訴訟などの経緯

 元の、東京高裁で和解したケースは、サイボウズ社が、画面とリンク構造の全体の著作権を主張していた事件である。最初に仮処分申立てがあり(東京地方裁判所平成13年(ヨ)第22014号)、2001年6月13日、一部が認められた(現行バージョン(当時)のV.3と旧バージョンであるV.2.43の両方が対象とされていたところ、後者についてだけ侵害とされた)。その後、間接強制の場面では極めて過剰と思われる主張が出された。すなわち、ネオジャパンは仮処分に従って新規販売等を停止していたのに、ユーザーの所での使用が継続していることを非難するという主張だった。そんな権限は著作権法に基づいてあり得るものではない。

 私が受任したのは、仮処分の決定が出た後のこと(最初にご連絡を頂戴したのが2001年6月20日)。間接強制の申立てに対する反論をしたが(平成13年7月12日)、間接強制決定自体は違反を認定せずに出されるものであり、そのようになった(平成13年8月7日)。

 平成13年8月3日、本案訴訟が提起された。仮処分申立と同じ対象物について差止と損害賠償を請求するもの。ただし請求金額は1000万円だけ。東京地裁平成13年(ワ)第16440号として審理の上(民事46部・三村裁判長)、平成14年9月5日に、請求をすべて棄却する地裁判決がくだされた。地裁判決書

 サイボウズが控訴し、東京高裁平成14年(ネ)第5248号として審理されたが(第3民事部・北山裁判長、主任・青蜊ル判官)、損害額についての審理を実質的にまったく行わない段階で結審となり(平成15年4月21日)、その上で和解協議に入った。侵害の心証を持っての訴訟指揮とはとても思われない。

2.和解の内容

 平成15年5月30日、2回目の和解協議で和解が成立した。当方としては、侵害を認めない和解条項での調整が出来たので、和解に応じたものである。和解条項(本書面の下方)を参照。

 金銭負担はゼロ、旧バージョン(2.43)について新規顧客への販売停止を続ける、との内容だが、後者は著作権侵害が理由ではないことが明記されている(2項但書き)

 和解条項の1項では、「参考」にしたのを認め、その仕方に行き過ぎた点があったとの控訴人の「主張」を「真摯に受け止め」る、としているが、それに留まる。どの項を見ても、著作権侵害としていないものである(2項の但し書きで、わざわざ「ただし,上記販売停止は著作権侵害等を理由とするものではない。」ともしている)。さらに、こうした和解条項は全体として、実質的に著作権侵害を(積極的に)否定するものであると理解している。なぜなら、肯定する端緒は何処にもなく、その上でその余の請求を放棄している(6項)からである。

3.誤報

 こうした和解が成立した2003年5月30日(金曜日)の夜、毎日新聞の報道があった(ウェブページへの掲載)。これはとんでもない誤報で、「違法コピーを事実上認めた」等としていた。その縮小イメージ

 ネオジャパンの方でこれに気付き、金曜日の夜には私も連絡を受けた。土曜日の昼間に、毎日新聞の担当記者からコールバックを受け、当方から和解内容について説明し、記事が誤りであることの理解を得た。その後間もなく、掲載記事は差し替えられた。差し替え後のページ(そのアーカイブ)へのリンク

 なお、誤報の内容説明や他の関係頁へのリンクについては、ネオジャパンの関係ページを参照していただきたい。

4.誤報の原因についての2つの主張

 この金曜日夜に掲載された誤報が生じた原因であるが、その説明は、当初、毎日新聞の言うところとサイボウズの言うところでまったく180度違っていると理解された。毎日新聞は“サイボウズの説明に基づいて記事を書いた”と言うが、サイボウズは下記のような主張をしている、という状況だったのである。

4.1 サイボウズの主張(当初の主張)

 すなわち。サイボウズは、6月2日に代理人の平出弁護士と電話で話をした際もそうだったし、その翌日に受け取った6月3日付けの平出弁護士のファクス(そのOCR)でも、「貴職が指摘する虚偽陳述は一切行なっておりません」などとしていた。このファクスでは、さらに当方に対していろいろな「抗議」までしている。極めて攻撃的な通知である。イメージも掲載しておく。その1頁のイメージ同2頁同3頁同4頁 (余りの不当な主張に、今読み返しても腹が立ちます)

 この通知書は、自分が誤報の原因ではないとしながら、また同時に「毎日新聞が勝手にやったこと」とは言っていないともして、この点でも当方を非難する。とにかく攻撃的である。

 なお、実際には平出弁護士は、「勝手にやった」との発言をしていた。当方が平出先生に6月2日午前11時6分にかけた電話において、ネオジャパンのHPでの説明にも問題があるとのご主張に対して当職が「でも、違法コピーを確認したというのに比べたら雲泥の差でしょう。」と申し上げたところ、平出先生が、

「でもそれは毎日新聞が勝手にやったことで」 「うちとしては今日はもう厳重に抗議しようと思って」
と言っていたのである。

4.2 毎日新聞の説明

 毎日新聞は当初から、誤報はサイボウズの説明に基づくものと言っていたが、平出弁護士が「それは毎日新聞が勝手にやったこと」等と主張するので、改めて平出弁護士の言葉を伝えて確認を求めた。

 これに対して毎日新聞の担当記者(野島康祐氏)は、6月2日の電話で、「この職を賭して、聞いたことのない嘘なんて書くわけがないのです。」等と言っていた。当方には、もっともだと思われた。当方に理解されたところでは、合理的に考えて、毎日新聞記者が、サイボウズ社がまったく言っていないことを捏造するとは到底考えられなかった。そんなことをする動機もなければ、作り出す端緒も持ち合わせていないと思われたからである。

4.3 毎日新聞の問題点

 ただし、毎日新聞は、たとえこのとおりサイボウズの説明に基づいて記事を書いていたのだとしても、それでも余り威張れた事情ではないはずである。書面(電子メール)の形で受け取ったものは、その後のサイボウズのプレスリリース(このプレスリリースは5月30日付けとなっているが、実際にウェブページに掲載されたのは6月2日になってからである)と同等のものだったようであるし、少なくとも、ネオジャパンの側を取材するのを怠ったのは問題である。連絡が付かなかった、などの言葉が聞かれたが、そんなはずはないし、何にしても取材しないままに記事を掲載してしまったというのは、落ち度と言える。

 しかしこの点は、謝罪されているし、迅速に差替えをしていただいたので、これ以上に当方から咎める積もりはない。考えてみれば、和解したというのだから、片方からの取材でも問題は生じないと思ったのであろう。それが常識的な話ではある。つまり、紛争が起こっているとか、訴えを提起したとかいうニュースであれば、確実に対立相手も取材するのだろうが、和解したという話なのだから、一方からだけでも大丈夫だと考えてしまったのだと思われる。

 なお、アーカイブページまで変えてしまったのは良いのだろうかとも思ったが、これは、最新版の所に記事が掲載されているうちに差し替えを行ったので、最終版を残す趣旨のアーカイブに残すものは、この差替え後のものとなるとの判断をなさっているのであろう。

5.本当の原因

5.1 サイボウズのその後の説明

 上記のように両者の言い分がまったく対立していたので、ネオジャパンの関係ページでは、両方を並記していた(下記の経過で修正し、現在では並記ではなく毎日新聞の説明のみを残してある。)

 その後6月17日に、毎日新聞から電話を受けた。その話によると、サイボウズ社から毎日新聞への説明では、

 ・サイボウズがミスリーディングな説明をしたことを認める、
 ・その旨を弁護士を通じてネオジャパンにも伝えた、
とのことだという。だから、上記のように並記しているのは不適切だから直してくれ、という趣旨の電話だったのである。これを受けて、サイボウズの主張を並記していたのを削除し、毎日新聞の説明のみを残した。

5.2 サイボウズの説明の矛盾

 この毎日新聞経由で聞いたサイボウズの説明は、2つの点で極めて奇妙なものと思われた。

 第1は、誤報の原因となった、和解の説明がおかしかったことを今度は自ら認めていると思われたことである。「違法コピーを事実上認めた」など、実際の和解内容とはおよそ違っており、仮にそうした説明をしたというのなら、それはウソを付いていたことになるはずだと思われた。

 第2は、「毎日新聞が勝手にやったこと」等と言っていたことについてである。この毎日新聞経由の話では、前言を撤回したかのようだった。もっとも、この前言は、6月2日の時点では、発言者個人(平出弁護士)はウソの積もりではなかったのかも知れない。その時点では、会社側からその様に説明をされていた可能性があると思う。しかし、組織全体を観察対象とするなら、自らの発言内容についての虚偽説明であると理解された。さらに、6月3日付けの平出弁護士のファクスについては、調査した上での会社としての主張であるが、事実に反しているように思われる。

5.3 サイボウズの主張の疑問

 なお、“その旨を弁護士を通じてネオジャパンにも伝えた”と言っている、という話については、若干の説明がいる。実は、6月3日付けの平出弁護士のファクスを受け取った直後、平出弁護士から電話を受けた。この電話では、ファクスは「会社の方針」として、口頭では常識的な話がなされた。“違法コピーを認めた”が間違いなのは確かで、それはハッキリさせるから、それ以上に紛争を拡大させたくない、などの話であった。その話の中では、サイボウズの人間がミスリードしたのだろうということも半ば認めてはいた。

 しかし、これは“その旨を弁護士を通じてネオジャパンにも伝えた”というのとは異なる。6月3日付けの平出弁護士のファクスを撤回したわけではなく、むしろそれを「会社の方針」としていたのである(そのため、上記の6月17日の毎日新聞からの電話を受けるまで、ネオジャパンの経過説明のページでは、上記のように毎日新聞の説明とサイボウズの主張とを並記していた。毎日新聞の説明がおそらくは正しいのだろうとは思われたが(そして結果としてはそのとおりだった思われるのだが)、当方としては確実な根拠は持ち合わせておらず、サイボウズの「会社の方針」としては、6月3日付けの平出弁護士のファクスのとおりであるわけだから、その主張を無視したのではさらに抗議を受けることになると思われたためである。しかし結果から見れば、サイボウズの疑問な主張を垂れ流すことになっていたものであり、毎日新聞には改めて謝罪したい)(6月30日追記: しかし、下に説明するように、サイボウズはその後も当方に対しては6月3日付けの平出弁護士のファクスを撤回せず、図々しくも「考え方の隔たりがある」などとするファクスを送ってきている。毎日新聞の言うところとは違うし、それどころか毎日新聞の言うサイボウズの説明ともまったく違う)

 どうやらサイボウズは、ミスリードしたのは事実なので、毎日新聞に対してはそれを認めざるを得ないが、当方に正式にそれを認めたり(ましてや)謝罪したりするのはイヤだ、ということとしか理解できなかった。

5.4 その後の経過

 当方では、6月3日のファクスに対して、上記のような電話での話があったので、文書での回答を控えていたのだが(あの攻撃的なファクスに回答したのでは、紛争がエスカレートしてしまうのが必至だから)、上記のような経過であり、また、違法コピーを認めたものでないことをハッキリさせるという話が一向に実行されないので、当職(松本)から平出弁護士宛の2003年6月18日付けのファクスを出した。

 しかし、現在(6月27日早朝)まで、これに対して何の反応も受け取っていない。

 また、2003年6月25日には、平出弁護士に本書面のドラフトをファクスしたが、これに対しても(6月27日早朝まで)何の反応も受け取っていない。

5.5 掲載後の経過(2003年6月29日に加筆)

 本文書のウェブページへの掲載(6月27日早朝)の後、平出弁護士から、Fri, 27 Jun 2003 15:27:15 +0900のメールで、次のような連絡があった:

松本直樹 先生

FAX拝見しました。サイボウズの回答は、小川弁護士からFAXが入ると思わ
れます。
なお、ホームページに掲載内容については、当職においてとやかく言うものでは
ないと考えております。

弁護士 平出晋一

 そして、小川弁護士からのファクスを受け取った(6月27日午後3時59分)。OCRしたものを次に記す: 「最終回答書 / 冠省 平成15年6月18日付けファックス拝見いたしました。 / 本件につきましては、貴職と当職及び当職依頼者との間には考え方の隔たりがあるように思いますので、貴職のお申し出に応ずることはできかねます。今後、同様のお申し出が繰り返されましても、遺憾なから回答致しかねます。 / なお、マスメディアに対しては、6月10日の決算説明会において、本件和解について説明をし、質疑応答しております。 / 以上、最終回答申し上げます。 / 草々」 ……これに対しては、「何なんだ、これは? 6月3日付けの平出弁護士のファクスも撤回もしないというのか? 」と受けとめるしかなった。

 「考え方の隔たり」というのは、何がどう違うという意味か? 「繰り返されましても、〜」としているのは、当職(松本)から平出弁護士宛の2003年6月18日付けのファクスだけでなく、その前の誤報に対しての抗議そのもの5月31日付けおよび6月1日付け、今回はこれらはpdfファイル)を含めて考えているかのように見える。それらとも「考え方の隔たりがある」というのは、まさか、あの誤報が誤りでなかったと主張しようというのだろうか? あれは完全に間違いであることは、平出弁護士も認めていたことであるというのに(その上で毎日新聞が「勝手にやった」と主張していた)

 何にしても、これで「最終回答」だとして弁護士に送りつけて来るというのは、訴えてくださいと言わんばかりである。「明らかに和解内容の事実と違う説明をしておいて、そしてそういう虚偽説明をしたことを毎日新聞に対して認めているというのに、当方に対しては謝罪するどころかこのような通知を送って来るというのは、一体何なのか? 」というのがその際に思われたことである。

 なお、今回は5月31日付けのように裁判所宛のファクスも示すので、改めてご説明しておくが、今回の誤報については、東京高裁の担当裁判官(青柳裁判官)も「事実と違う」と仰っており、6月2日(月曜日)に直ちに平出弁護士に対して注意するように電話をしていただいている。

5.6 さらにその後の経過: 訴え提起(2003年7月11日に加筆)など

 誤報について、サイボウズが当方に対しては責任を認めず謝罪しないので、また著作権侵害としない和解であることを明確にしないので、平成15年7月11日、東京地裁に訴えを提起した。ここに提出した訴状のpdfを掲載しておく。

 上記のように、当方では「最終回答」を受け取っており、また毎日新聞の話でも、従前ミスリードを認めていたのに、それをネオジャパンへもハッキリ認めるように求めているのに対して、サイボウズからはまったく回答がないという。仕方がないので訴訟を提起したものである。

 (2004年2月17日: 訴訟経過については、地裁の弁論記録地裁判決控訴審の弁論記録、をそれぞれ見てください。しかし、乙1の電子メールのようなものもあるのに、地裁で敗訴したのは驚きでした。)

 (2004年3月4日: 誤報についての訴訟は、その後、3月3日に東京高裁で和解しました。和解条項は、下に貼り付けておきます。8.誤報の件の和解条項 )

6.さらに検討

 (2004年2月17日: 本項は専ら当職の考えを記していたので、和解交渉に伴って削除します。)

 

7.和解条項

 以下は、ネオジャパン側で和解調書(東京高等裁判所平成14年(ネ)第5248号事件の、平成15年5月30日付けの調書)の和解条項をテキストに直したものです。参考のため、ここに(も)掲載しておきます。


 控訴人が,被控訴人の製品である「iOffice2000 V2.43」及び「iOfficeV3」が控訴人製品である「サイボウズ Office2」の著作権を侵害したとして,著作権等に基づき損害賠償及び上記製品の製造販売等の差止めを求めて提起した本件訴訟について,当事者双方は,下記の各点を確認して同訴訟を終了させることを合意した。

1. 被控訴人は,被控訴人の製品である「iOffice2000 V2.43」及び「iOfficeV3」の基となる「iOffice2000 V1.0」の開発に当たり,「サイボウズ Office2」を参考にした点があることを認めるとともに,上記の参考の仕方に行き過ぎた点があったとの控訴人の主張を真摯に受け止め,今後のビジネスソフトの開発に当たって,その点に留意するものとする。

2. 前項記載の趣旨に鑑み,被控訴人は,上記「iOffice2000 V2.43」の新規顧客への販売を今後も行わない。

 ただし,上記販売停止は著作権侵害等を理由とするものではない。

3. 当事者双方は,ビジネスソフトの開発に関して,互いに,開発のインセンティブを損なうことのないよう相手方の開発ソフトの価値を十分に尊重し,業界発展と共創の意識を持つように心がけて営業活動を行うものとする。また,当事者双方は,正当な競争原理から逸脱することなく,切磋琢磨して社会に貢献することとする。

4. 控訴人は,東京地方裁判所平成13年(ヨ)第22014号著作権差止仮処分申請事件を取り下げる。

5. 被控訴人は,控訴人に対し,控訴人が上記仮処分申請事件について立てた担保(東京法務局平成13年度(金)第16336号)の取消しに同意し,控訴人と被控訴人は,その取消決定に対し抗告しない。

6. 控訴人はその余の請求を放棄し,被控訴人は,本件にかかる控訴人に対する損害賠償請求を放棄する。

7. 訴訟費用及び和解費用は,第1・2審を通じて各自の負担とする。

以上


 

8.誤報の件の和解条項

 誤報の件について、虚偽陳述流布差止を求めて提訴しましたが、地裁で敗訴してしまった後、高裁で審理があって(東京高裁平成15年(ネ)第5485号 不正競争差止等請求控訴事件)、和解交渉の末、平成16年3月3日に和解が成立しました。次の通りです:

 [和解条項]

 控訴人が,前訴の和解後の報道において被控訴人の虚偽陳述に基づく誤報があったとして,虚偽陳述流布の不正競争行為の差止め等を求めて提起した本件訴訟において,当事者双方は,次の各点を確認して本件訴訟を終了させることに合意した。

 1.平成15年5月30日の夜に毎日新聞のウェブページに掲載された,前訴の和解に関する当初の報道は,誤報であったことを確認する。

 2.前項の誤報は,被控訴人のみに対する取材に基づいて記されたものであり,そこでの主観的な説明を一つの契機としている。このような誤りが報じられ控訴人に損害を生じたことにつき,被控訴人は遺憾の意を表明する。

 3.双方(各代理人を含む)は,前訴の和解後の経緯および本件訴訟の性質にかんがみて,本件和解について本和解条項以外の意見を表明しないものとし,また対立当事者に対する非難を慎む。

 4.控訴人と被控訴人は,本件に関して,今後,訴外毎日新聞社その他いかなる第三者に対しても何らの請求等を行わない。

 5.控訴人はその余の請求を放棄する。本件に関し他に債権債務のないことを確認する。

 6.訴訟費用及び和解費用は,第1・2審を通じて各自の負担とする。

以上


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